羽織の裏地=羽裏
内面効果から生まれる美意識

皆様、羽裏をご存知ですか?
Do you know HAURA ?
1800年代、中盤から末期頃に政府から度々出された贅沢禁止令。皆がこぞって羽裏に凝るようになったのは丁度この時がきっかけです。ファッションを前面的に楽しむ事が難しくなった時、皆は裏地で自らのファッションを尊重し楽しみました。普段は無地で外からは、中々見えない裏地もお茶屋などで腰を下ろすとチラッと覗く、豪華な図柄。その精神こそが羽裏の粋なルーツでした。日本人は、昔から内面的な思想を持った民族だと考えます。しかし、それが正しく日本人の粋な部分で、思っている事を全身全霊で伝えるのではなく、背中で語る。そして裏地で語る。これこそ、正しく日本人の持つ内面効果ではないでしょうか。

岡重の心臓 裂見本帳
明治時代初期から継承
今から約100年以上前。岡重二代目「岡島重助」氏は裏地の染色加工を生業とする中で、図案の蒐集家でもありました。そんな中、当時岡島重助氏と交流があった作家として、社の記録に残っているのが、神坂雪佳や今尾景年。今では日本画家を語る上では教科書にも出てくる程、有名ですが、そんな日本画家の鬼才から様々な影響を受けて、大胆で無邪気な図案が誕生したと言われております。左に写っている写真は、その図案が所蔵されている1冊の本。約100年の時を経て、現代でも継承されております。
岡重の長襦袢
柄を表に出さない美学
着物の中で肌着と呼ばれる長襦袢。正絹に型友禅で染め上げられた、生地はその手触りと言い、非常に滑らかな肌心地(着心地)が特徴的です。岡重の長襦袢は、正にその内面的な美学を捉えて、羽裏柄を大胆に染色。そのインパクトがある図案から現代でも大変ご好評を頂いております。なお最近では、岡重の長襦袢を用いてワンピース等などに誂えて、販売されるブランド様もございます。
